お大師さまは「真言は不思議なり、観誦(かんじゅ)すれば無明(むみょう)を除く。一字に千理を含み、即身に法如と証す」と、『般若心経秘鍵(はんにゃしんぎょうひけん)』に述べられています。
密教ではこの「即身成仏」に至るために、以下のような三密を実践し修行します。
- 右の五指を各々左の五指の上にして指頭の部分を交叉する金剛合掌(こんごうがっしょう)と、
臍(おへそ)の側に左手の掌の上に右手の掌を仰げて重ね、
両方の親指の先を着くか着かぬほどにする法界定印(ほうかいじょういん)が代表的。 - 念誦の遍数には三遍・七遍・百八遍・千遍、そして十万を意味する洛叉(らくしゃ)があります。
また、唱え方には次のようなものがあります。
自身の心の蓮華(れんげ)の上に法螺貝(ほらがい)
があってその貝から声を出すように唱える。唱える声が自分の耳だけに聞こえる。
唇歯を合わせて舌端を少し動かして唱える。
誦舌をも動かさず、心のみ念ずる。
声を出す時も出さない時も、
常に口から光明を出すように念想して唱える。 - 代表的な観法(瞑想法)として阿字観(あじかん)があります。
梵語の最初の「阿」字は、あらゆる事象の根本を含むとして、
その阿字を観ずることによって生滅のない実在を体得できるとされています。